生分解背景について
生分解自社農園についての考察
Syncs.Earthは自社で畑を運用して、洋服作りで利用した資源を循環/再利用の研究をしています。
Syncs.Earth畑の研究テーマは、循環型農業に洋服の循環を加えていくことです。
では、なぜ循環型農業なのか、少しお話します。
そして、これから書くことは、既存の生活や慣行農法を否定するというスタンスで語るものではありません。特に土壌の持続性という点に着目して循環型農業に取り組んでいます。私たちが利用している天然繊維は畑で分解されます。
「和紙は畑の状態をよくする」と言われます。
私たちも一時期はこの言葉を使っていました。
しかし、畑での研究を進めるうちに「畑の状態を良くする」とはどういうことだろう?
ということを考えるようになり、今はこの言葉を使っていません。
和紙やコットン繊維は、天然資源を利用して、人間が生活するために人工的に作ったもので自然界には無いものです。
単一的に見れば、天然資源なので、土に還ります。しかしながら、土に還れば持続可能な循環型と言えるわけでは無さそうです。
そこには畑をとりまく自然環境と共生する全体のバランスを考慮する必要があります。
そのバランスを考慮する最初の出発点が「土壌」のように感じ始めました。
衣類で使用した資源の循環は、土壌の持続性を十分に考慮した方法を模索することが重要なように思います。
化学肥料を例にとって言えば、化学肥料の利用は飛躍的に収量を向上し、作物はグングン育ちます。農家さんの収入は増え、消費者はいつでも作物をお金で買える豊かさを世界中で享受しました。これも1つの「畑を良くする」ことだと思います。
一方で、化学肥料を用いた工業的な農業は、世界全体で地表に大量の窒素とリンを流出し生態系のバランスを大きく崩しました。また、化学肥料は土壌中の生態系のバランスをも崩します。
一度破壊された土壌中の生態系は、元に戻るためには、相当な時間がかかると言われています。
畑は良くなりましたが、持続可能な方法なのか?ということが考えられ始めています。さて、和紙やオーガニックコットンを畑で分解させることによって「畑が良くなる」とは、これとは異なるのでしょうか?
今のところそうとは言い切れません。和紙糸もオーガニックコットンも「土に還れば循環型」なのか、私たちはあえてそこに疑問点をおき循環型であろうとするときに、人間本意ではなく、人間を含めた生態系の全体調和を常に考え、持続可能で豊かな暮らしをファッションを通じて考えていければと思います。アパレル産業の常識にとらわれず
農業の常識にとらわれず
土の声に耳を澄ませ
アヴァンギャルドに研究を進めています。